本研究では,海底地形がアマモ場の形成に与える影響を明らかにするために,紀伊半島西部南東部に分布するアマモ場を対象とし,その形成位置と海底地形の対応関係を調査した。紀伊半島におけるアマモ場は,主に波の影響が小さい入り江に形成されていたが,波の影響が大きい外海に面した地点でも岩礁などの海底地形や防波堤の裏で形成されていた。そのため,防波堤や岩礁といった障害物が波の影響を緩和し,アマモやコアマモの流出が阻害され,定着したことでアマモ場の形成につながったと考えられた。以上のことから,岩礁などの海底地形が障害物となり,波の影響を緩和したことで,アマモ場の形成に大きな影響を与えていることが示された。