本研究では,施工後経過年数の異なる屋上緑化芝地について,炭素含有量,土壌の微生物活動,窒素含有量の経年変化を調査した。その結果,屋上緑化芝地は,土壌呼吸速度が施工後有意に増加するものの,芝の乾燥重量の増加および有機物層へのサッチの蓄積により,炭素固定能を有することが明らかになった。窒素溶脱負荷については,施工後,硝化速度が減少することから,溶脱負荷は低いと考えられた。また,微生物バイオマス炭素量が施工後有意に増加していることから,土壌微生物量が増加していると考えられた。以上のことから,本研究で明らかになった知見が,屋上緑化芝地の炭素固定能の向上および窒素溶脱負荷の低減に役立てば幸いである。