2018 年 44 巻 1 号 p. 81-86
都市開発では雨水流出抑制対策が必須である。都市樹木による樹冠遮断効果を検証するため,2017 年4 月27 日から12 月10日まで,カツラ,シラカシ,ソメイヨシノの樹冠通過雨量と樹幹流量及び林外雨量を測定した。総降雨量20 mm 以上のイベントにおける樹冠遮断割合は,カツラが最大であり(0.26),ソメイヨシノが最小であった(0.10)。測定期間中に剪定されたシラカシでは,樹冠遮断割合が0.24 から0.15 に減少した。カツラは林外雨の降雨強度を最も低減し,イベント平均での降雨強度低減率は約56%だった。風や周囲の樹木が林外雨量測定に与えた影響を定量化する課題は残るものの,都市樹木の樹冠遮断により降雨量や降雨強度が低減されることが明らかとなった。