2019 年 45 巻 1 号 p. 91-96
食葉性昆虫による食害がブナに与える影響を明らかにするため,圃場に生育する 10年生の中型サイズのブナに,異なる時期及び強度で摘葉し,当年枝木部の水分通道組織構造を調べた。5月摘葉処理では,摘葉強度の上昇にしたがい,平均道管内径が低下し,道管密度は高くなった。それに対し,6月摘葉処理では,水分通道組織構造への影響は認められなかった。5月の強度摘葉処理では,摘葉処理翌年においても,木部水分通道組織構造への影響が認められた。これらのことから,展葉完了後まもなく生じるブナハバチによる食害は,当年枝木部の水分通道組織構造へ大きな影響を及ぼし,その影響は翌年にも及ぶと考えられた。