海岸マツ林を保全する上で,ニセアカシアの制御は重要な課題となっている。著者らは林内作業車を使用したクロマツ間伐後に,大量のニセアカシア根萌芽の発生を確認した。そこで,林内作業車によるニセアカシア水平根の損傷が根萌芽発生に与える影響を明らかにするため,林床にニセアカシアが生育しているマツ林で走行試験を行った。マツ林内において間伐作業等に用いるクローラタイプの作業車を直線走行させた後に方向転換させ,わだちの形成と根萌芽の発生を確認した。さらに,水平根を掘り出して損傷を調査した。方向転換した場所には明瞭なわだちが形成され,根萌芽の発生が認められた。一方直線走行跡にはわだちは形成されず,未走行地とともに根萌芽はほとんど発生しなかった。わだちの下にある水平根には,切断や傷の跡が見られた。基部方向が切断された18本の水平根のうち17本から根萌芽が発生しており,わだちの形成と基部方向の切断が有意に根萌芽の発生を促すことが明らかになった。マツ枯れ防除の際にも,間伐と同様の林内作業車が用いられるため,地表攪乱を引き起こし根萌芽の発生を促す可能性がある。さらなるニセアカシアの分布拡大を防ぐために,松枯れ防除の際の作業方法にも留意する必要性が考えられた。