シダ植物による増殖技術の主流は株分けである。緑化植物の選択肢を増やすことや,個体保全のためには,胞子から胞子体を生産する技術を確立させる必要がある。ベニシダとオニヤブソテツを対象として,ソーラスの平均重量が胞子の発芽に与える影響,及び前葉体の生育密度の違いが生存率に与える影響を調査した。両種ともに各7個体から1ソーラスの平均重量を算出した。25 ℃恒温,明条件16時間(11,000 lux),暗条件8時間で90日間培養した。1ソーラスの平均重量は,ベニシダで0.16 mg(0.08~0.26 mg),オニヤブソテツでは0.32 mg(0.19~0.79 mg)であった。両種ともに1ソーラスの平均重量と胞子の発芽数の間に正の相関が認められた。前葉体の生育密度及び90日後の生存率は,両種ともにソーラスの平均重量が最も重い個体で高い値を示した。生育密度がピークに達したのはベニシダでは平均で13日目,オニヤブソテツでは24日目となった。効率的に前葉体を生産するには,ソーラスが重い個体から胞子を採集し,胞子播種後約10~30日の間に,鉢上げを行うことが効率的であることが明らかになった。
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