日本緑化工学会誌
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技術報告
嗜好性植物を使用したニホンジカ(Cervus nippon)と共生する緑化手法の開発
田中 淳 吉原 敬嗣亀井 廣吉
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2021 年 46 巻 4 号 p. 400-404

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抄録

ノシバは,被食耐性が強く,種子は,シカに採食された後,糞として排出された後も発芽能力がある。この特徴をいかし,アメリカ産,中国産,日本産の3つの産地のノシバ種子を使用し,ニホンジカへの採食試験および発芽試験を行った。日本産の排出された種子の発芽率は採食前の発芽率73.0%から68.3%とほぼ変わらなかったが,アメリカ産は90.0%から59.7%へ中国産は88.0%から12.2%へ低下した。日本産ノシバは,糞への排出率・損傷率なども考慮すると採食種子の17.2%が発芽可能な種子として拡散される可能性がある。ノシバによる緑化を行うことで,種子を採食したニホンジカの移動と排糞により緑化地周辺へも種子が拡散し緑地を増やす可能性がある。

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© 2021 日本緑化工学会
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