ムラサキシキブおよびヤブムラサキは,関東地方における二次林(落葉広葉樹)の低木層を構成する。しかし,管理放棄によるアズマネザサの生育は低木層や草本層を著しく衰退させる。そこで,夏期に一度のアズマネザサの刈り取りが両種の種子発芽と実生の初期成長に与える影響について調査した。実験室および二次林内での種子発芽実験の結果,採取直後は明条件で発芽率が高く,6か月間低温湿潤貯蔵することで暗条件でも発芽率が向上することが判明した。また,実生個体の栽培実験でアズマネザサ下の生存率は0~16.7%であったのに対し,アズマネザサを刈り取ることで,生存率が60%以上に向上し,実生の成長に大きく影響することが明らかとなった。