日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
透析シャント肢側の橈骨遠位端骨折に対するプレート固定
関根 巧也大村 泰人上原 浩介門野 夕峰
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2024 年 41 巻 3 号 p. 263-266

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抄録

透析シャント肢側に生じた橈骨遠位端骨折(DRF)は,手術侵襲に伴うシャント閉塞や出血リスクを回避するため,より低侵襲な保存療法,経皮的鋼線固定や創外固定を選択される傾向がある.当院では,創外固定と経皮的鋼線固定を併用した症例で矯正損失を早期に生じた経験があり,以後,プレート固定を第一選択に行っており,その治療成績について調査したので報告する.対象は2014 年8 月~2022 年7 月にシャント肢側のDRF と診断し,当院でプレート固定を行い,半年以上追跡できた6 例である.手術はターニケットを使用せず,エピネフリン含有局所麻酔薬を局所注入して行った.皮膚切開は通常よりもやや尺側においてtrans FCR approach を用いた.平均手術時間は84 分,平均術中出血量は30g だった.6 例中1 例で矯正損失を生じたが,全例で感染やシャント閉塞などの周術期合併症は起こさなかった.透析シャント肢側のDRF に対するプレート固定は,矯正損失が少なく,シャント関連の合併症を生じず,有用な治療選択肢の1 つとなり得る.

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