2025 年 41 巻 6 号 p. 687-690
角速度センサを用いて健常者と手根管症候群(CTS)患者の母指最大掌側外転角度と回内角度計測を行い比較検討した.健常者と比較してCTS 患者の掌側外転角度は有意に低値であった.中等度CTS と重度CTS を比較した結果,中手骨部で計測した場合の掌側外転角度は同等であった.爪甲で計測した掌側外転角度と回内角度は,中等度CTS と比較して重度CTS は有意に低値であった.中等度CTS の母指CM 関節での掌側外転角度は重度CTS と同等であるが,重症化すると回内運動障害が顕著となり,爪甲で計測した場合の掌側外転角度は低下し,機能的にも悪化すると考えられた.