2025 年 42 巻 3 号 p. 336-339
大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオールが,メノポハンドの疼痛を緩和させるという報告が散見されるが,未だその除痛機序は不明である.本研究では,ラット後根神経節の小型神経細胞にホールセル・パッチクランプを行ない,エクオールの疼痛抑制機序を調査した.Voltage clamp 法では,エクオール投与により,痛みを伝達する無髄C 線維を持つ小型神経細胞の内向きナトリウム電流が有意に抑制された.また,current clamp 法では,エクオール投与により,小型神経細胞の静止膜電位が有意に低下し,活動電位の発火閾値が有意に上昇した.また,外向きカリウム電流の部分的な抑制が見られたが,input resistance やrheobase には有意差がなかった.本研究から,エクオールは小型の感覚神経細胞に対して抑制性の作用を有することが示された.電位依存性ナトリウムチャネルへの直接的な作用に加え,GPR30 等のG タンパク共役型受容体等も関与して抑制作用を示している可能性がある.