日本手外科学会雑誌
Online ISSN : 2188-1820
Print ISSN : 2185-4092
学術集会発表論文
遠位上腕二頭筋腱不全断裂の治療経験
牛島 貴宏小川 光曽根崎 至超石河 利之小島 哲夫
著者情報
ジャーナル 認証あり

2026 年 42 巻 4 号 p. 543-547

詳細
抄録

比較的稀な遠位上腕二頭筋不全断裂に対して手術治療を行った症例の臨床的特徴と治療成績を報告する.対象は5 例で,患者背景,症状,MRI 所見,断裂形態,術後成績などを調査した.手術は肘前方から展開し,断裂した腱と橈骨粗面への付着部を同定し,スーチャーアンカーを挿入し縫合した.後療法は約4 週の外固定を行った後に可動域訓練を開始した.平均年齢は58.2 歳,男性労働者で,利き手側が3 例,非利き手側が2 例であった.全例で上腕二頭筋腱に沿って圧痛を認め,可動域は疼痛により前腕回内や肘伸展が制限される症例が多かった.MRI では腱付着部にT2 強調像で高信号を認めた.術中所見は橈骨粗面の近位側から断裂したもの(長頭)が4 例,遠位側から断裂したもの(短頭)が1 例であった.術後の可動域は全例で改善し,最終観察時のDASH は6.2 であった.男性労働者の遠位上腕二頭筋腱不全断裂の治療成績は良好であった.本研究では不全断裂は長頭に多く発生しており,繰り返す慢性的な負荷により損傷を生じると考えられた.

著者関連情報
© 2026 一般社団法人日本手外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top