2026 年 42 巻 6 号 p. 910-913
点滴静注や動脈ライン抜去後の上肢コンパートメント症候群は稀であり,特に乳幼児における報告は限られている.本研究の目的は,減張切開術を行った5 症例を検討し,その臨床的特徴を明らかにすることである.点滴漏れの症例では,皮下に貯留した薬液により皮膚局所の白色化を認め,血行障害による皮膚壊死を伴う前腕コンパートメント症候群を合併することがある.また,抗凝固療法や播種性血管内凝固症候群などの背景のある患者が,著明な腫脹や緊満感を認める場合には,血腫に伴うコンパートメント症候群を呈することがある.このような症例では,可及的早期に減張切開術を行い,薬液や血腫の除去を行うことが機能障害を残さないために重要である.また,乳幼児において壊死組織のデブリードマンは最小限で良い可能性が示唆された.出血リスクの高い症例では,コンパートメント症候群の予防として,超音波ガイド下での安全な動脈ラインの確保や確実な止血の確認が重要であると考えられた.