2018 年 47 巻 2 号 p. 77-101
一般に,公的統計ミクロデータの作成・提供にあたっては,個体情報の秘密保護に関する統計法制度的な措置および技術的な手法が施される.それは,具体的には,個体情報を統計法で定めた上で,ミクロデータの作成・提供を可能にするための法的な解釈と統計制度上の整備を行い,ミクロデータを提供するための統計技術的な措置を探究することだと言うことができる.本稿では,ミクロデータの作成側と利用側の両面を踏まえた形で,公的統計ミクロデータの作成・提供に関する方法的特徴を明らかにするだけでなく,わが国の公的統計のミクロデータにおける匿名化のあり方について追究する.