日本統計学会誌
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日本統計学会賞受賞者特別寄稿論文
欠測データ解析のmissとmyth
狩野 裕
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2019 年 48 巻 2 号 p. 199-214

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抄録

欠測データ解析の基礎理論はRubin とLittle に負うところが大きい (e.g., Rubin (1976), Little and Rubin (1987, 2002)).しかし,彼らはYobs, Ymisといった便利ではあるが曖昧な記法を用いたため,多くの誤解を生んだ.また,重要な概念であるMARなどに関連する数学的性質が証明なしで述べられており理解が深まらないといった課題がある.本論文では,数学的に曖昧性のない記法を用いて,欠測データ解析における重要な概念を誤解なく表現するとともに,いくつかの鍵となる数学的性質に証明を与える.具体的には,最尤法の理解を深めること,MARと条件付き独立の関係,パラメータ分離の役割,補助変数法の有効性について議論する.

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© 2019 日本統計学会
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