抄録
要約:TFPI (tissue factor pathway inhibitor)にはTFPIαとTFPIβがあり,両者の血管内存在様式の詳細が明らかとなり,さらにTFPIαのC 末側2 つのドメインが第V 因子(FV)やプロテインS(PS)と相互作用し,それぞれ血小板プロトロンビナーゼ阻害(活性型FV 阻害),FXa 阻害促進(PS のTFPI cofactor 作用)といった新機能を有し,臨床像との関連も大きいことがわかってきた.これまで動脈硬化や血栓症におけるTFPI 検査の意義の探索や,遺伝子組換えTFPI 製剤による敗血症治療が試みられたが,まだ成功していない.一方,TFPI 阻害剤を用いた血友病治療は動物モデルで有効性が示され,複数の臨床治験が進行中である.今後,新知見をふまえた新たな臨床応用の展開が期待される.