2018 年 29 巻 4 号 p. 370-373
要約:東日本大震災ではワルファリンが届くのが1 週間後になった避難所もあった.今後の首都直下地震,東南海地震では薬剤が避難所に届くのがもっと遅れる可能性もある.また通常の避難所診療所ではPT-INR 測定は困難でありワルファリンのコントロールは不可能である.そこで大規模災害が予測される地域ではワルファリンをできるだけDOAC に変更することが必要である.またワルファリンに変えられない患者も少なくないことから,平時からPT-INR をPOCT で測定できるようにDMAT や災害拠点病院では準備すること,PT-INR 測定できるPOCT がどこにあるかを医療機関で情報共有しておくことが必要である.さらに災害後にワルファリンが4 日以上届かない場合にワルファリン服用者に対してDOAC 処方するかどうかなどを本学会が中心になって提言し,可能ならガイドライン作成が必要と考えられる.