日本血栓止血学会誌
Online ISSN : 1880-8808
Print ISSN : 0915-7441
ISSN-L : 0915-7441
特集:産婦人科領域の血栓症・出血症
組織因子陽性細胞外小胞とがん関連静脈血栓塞栓症
久田 洋平
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 32 巻 5 号 p. 613-618

詳細
抄録

組織因子(tissue factor: TF)は,膜貫通タンパクであり,外因系凝固経路の開始因子である.TFは血中で選択的スプライシング(alternative splicing)TFとTF陽性(TF+)細胞外小胞(extracellular vesicle: EV)の2種類の状態で存在すると考えられている.選択的スプライシングTFは凝固活性が著しく低いが,TF+EVsは凝固活性を有する.がんを含む様々な疾患でEVTF活性が上昇することが示されてきた.がん患者では,一般の母集団と比べて,静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism: VTE)のリスクが有意に高いことが示されており,EVTF活性とVTEの関連を調査する様々な研究が行われてきた.本稿では,血漿中のTF+EVsの測定法とがん患者におけるEVTF活性とVTEの関連に関する研究を要約する.

著者関連情報
© 2021 日本血栓止血学会
前の記事 次の記事
feedback
Top