抄録
生後1年半までスペインで飼育された後日本に搬入された4歳,雄のラブラドール・レトリバーの両眼周囲,鼻鏡,耳翼,頸部,腰部,前後肢に,慢性に経過し抗菌剤に反応せずに痒みを伴わない脱毛と落屑が見られた。血液検査を行ったところ高γグロブリン血症が見られ,皮膚掻爬試料のPCR検査によって Leishmania infantumのkinetoplastDNAが検出され,Rapid Immunoassayによって血清抗体が検出された。このことから,本症例はこれまでわが国で紙上報告例がなかった犬リーシュマニア症と診断された。