獣医臨床皮膚科
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12 巻, 1 号
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原著
症例報告
  • 寺園 司, 永田 雅彦, Affolter Verena K.
    2006 年12 巻1 号 p. 7-10
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/29
    ジャーナル フリー
    3歳齢,雌のバーニーズ・マウンテン・ドッグに躯幹背側,大腿,頭部を中心とした結節や潰瘍が多数生じ,強膜の充血や角膜の浮腫も認められた。抗生剤とプレドニゾロンで改善に乏しく皮膚生検を施行した。皮下脂肪織と真皮深層を中心に異型性に乏しい組織球様単核球を主体とした細胞浸潤が認められた。臨床像および組織像より,全身性組織球症と診断した。これまでの治療に免疫調整作用を有するグルセオフルビンを併用したところ,角膜浮腫は明らかに改善し,潰瘍も縮小傾向を示した。その後も薬物療法を断続的に投与し,随時支持療法を導入することで5年間管理することができたが,8歳時に呼吸不全により他界した。剖検は施行できなかった。我々が調べ得た限り,本邦における全身性組織球症の第1例と思われた。
  • 並河 和彦, 渡辺 征, Lynch Jonathan, 菅木 佑始, 北井 正志, 須永 藤子, 片倉 賢, 小方 宗次
    2006 年12 巻1 号 p. 11-15
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/29
    ジャーナル フリー
    生後1年半までスペインで飼育された後日本に搬入された4歳,雄のラブラドール・レトリバーの両眼周囲,鼻鏡,耳翼,頸部,腰部,前後肢に,慢性に経過し抗菌剤に反応せずに痒みを伴わない脱毛と落屑が見られた。血液検査を行ったところ高γグロブリン血症が見られ,皮膚掻爬試料のPCR検査によって Leishmania infantumのkinetoplastDNAが検出され,Rapid Immunoassayによって血清抗体が検出された。このことから,本症例はこれまでわが国で紙上報告例がなかった犬リーシュマニア症と診断された。
短報
  • 八島 加奈子, 柴田 久美子, 青山 利雄, 永田 雅彦, 代田 欣二
    2006 年12 巻1 号 p. 17-21
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/29
    ジャーナル フリー
    犬の表層性壊死性皮膚炎(SND)は肝障害における栄養素の欠乏に起因すると考えられている。しかし,肝臓の病変は症例によって様々である。したがって,随伴する肝病変の性格づけはSNDの病理発生を解明する上で助けになるであろう。本論文で3例の犬SNDにおける肝臓病変について報告する。症例1はポメラニアン,雌,成犬で,肝臓肉眼所見はび慢性小結節状であった。組織学的に線維化はなく,実質の虚脱と再生を伴う多病巣状の肝細胞の水腫/グリコーゲン変性が見られ,この為,肝臓は結節状となっていた。診断としては肝臓の空胞ないしグリコーゲン変性症とした。症例2はマルチーズ,避妊雌,11歳で,肝臓は肉眼的に症例1と同様に小結節状であった。組織学的に肝細胞の空胞/脂肪変性および水腫/グリコーゲン変性が見られ,中程度の線維化と重度へモジデローシスを伴っていた。症例3は雑種,去勢雄,16歳で,肝臓は肝細胞癌と診断された。3症例全てにおいて糜爛,潰瘍,痂皮など,SNDに特徴的な皮膚肉眼所見がみられ,皮膚生検の組織像はSNDのそれと一致した。全ての症例で肉球の変化が最も重度であった。低アルブミン血症が症例1および2で見られた。グルカゴンの上昇は見られなかった。症例1,2の肝臓病変は同じ肝疾患のものと考えられた。症例3は肝細胞癌に随伴したSNDの最初の報告例と思われた。
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