抄録
11才齢,雄の雑種犬が慢性の細菌性外耳炎のため抗菌剤による治療を受けてきたが,再発を繰り返すため2009年4月に当院へ受診した。両外耳には,緑色排膿とびらんが認められた。膿の塗抹標本から好中球と多数の桿菌が認められたため,分離同定と薬剤感受性試験を行った。起因菌は緑膿菌で,多剤に対し耐性であったが,ホスホマイシンナトリウム,オフロキサシンには感受性が認められた。外耳道の洗浄および4週間ホスホマイシンナトリウム内服とオフロキサシン外用を行ったところ,外耳炎が認められないことから治療を終了して現在に至っている。このように多剤耐性の化膿性外耳炎を防ぐには早期に細菌培養および薬剤感受性試験を行い,適切な治療を行うことが肝要といえる。