日本下肢救済・足病学会誌
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特集:重症虚血肢に対する血管内治療
膝下動脈病変に対する至適血管内治療
金子 喜仁
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ジャーナル 認証あり

2018 年 10 巻 3 号 p. 152-159

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抄録
末梢動脈疾患(peripheral arterial disease; PAD)に対する血行再建は,長年バイパス術(bypass surgery; BSX)が主であった.しかし技術の進歩・デバイスの進化に伴い,今や血管内治療(endovascular therapy; EVT)がBSXを凌駕している.それは,重症虚血肢(critical limb ischemia; CLI)でも同様である.特に,冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を生業としていた循環器科医がEVTを行う機会が増えている.長年PCIで培った技術を生かせるが,PADへの理解がいまだ十分とはいえない.そもそも,PCIは薬剤溶出型ステントにより再狭窄の問題は改善され,今や確立した治療となった.しかしEVTは,一部領域をのぞけば再狭窄が未解決であり,適応や戦略の慎重な検討が必要である.特に,膝下動脈(below the knee; BTK)に対するEVTの成績は不良であり治療後3ヵ月で70%以上が再狭窄・再閉塞すると報告されている1).CLI治療のゴールは第一に安静時痛の改善・創傷治癒であり,PCIと同じスタンスで治療を行ってはならない.本稿では「適切な」BTKに対するEVTついて,筆者の考えを述べたい.
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© 2018 日本下肢救済・足病学会
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