管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
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純粋持株会社における全体最適と部分最適
福田 淳児
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2019 年 27 巻 2 号 p. 27-44

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抄録

本稿の目的は,純粋持株会社制を採用している企業グループにおける,グループ・レベルでの全体最適と事業会社レベルでの部分最適との間の整合性を取るためのマネジメントの設計を明らかにすることにある.キリングループへのインタビュー調査から以下の点が明らかになった.キリングループではグループ全体最適な意思決定を促進するために,ホールディングスと事業会社間での取締役の兼任を行わない.また,事業会社の獲得した利益は全額配当金としてホールディングスに集約されている.さらに,グループ・レベルの戦略が事業会社の戦略に組み込まれ,その実行が確実に行われるために,KISMAPを始め,それに関連した業績測定・評価などのMCSsの設計に工夫が見られた.事業会社間の連携を促進するうえで,ホールディングスが積極的にブランド・マネジメント・システムを利用している点も特徴的であった.しかし,iMUSEブランドによる取り組みの背後には,組織メンバーの過去のプロジェクト経験に基づく非公式的なネットワークが果たす役割も重要であった.

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© 2019 日本管理会計学会
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