2012 年 12 巻 p. 99-104
本研究では,経営理念に対する認識が従業員の文脈的パフォーマンに及ぼす影響とそのプロセスを検討するために分析モデルを設定し,共分散構造分析を用いて妥当性の検証を行った。また,説明モデルが非正規労働者と正規労働者とで相違しているのかについても探索的に検討した。分析にはB社の1,569名の従業員データ(正社員:260名,パートタイマー:1,309名)が用いられた。分析の結果,適合指標はGFI=.952, AGFI=.937, CFI=.967, RMSEA=.031となり,モデルの妥当性が認められた。また,雇用形態別のモデル分析の結果,雇用形態が相違していても,モデルに妥当性があることが確認された。これらの結果,雇用形態にかかわりなく,経営理念は従業員の文脈的パフォーマンスを促進する可能性が示された。