抄録
本論文では,大学生の企業選択に影響を与えている要因を検討した。特に,企業の社会的責任(CSR)が影響を与えているかどうかをみた。その結果,CSRを果たすことは大学生の企業選択において重要度や優先順位はそれほど高くなく,年収,安定度,福利厚生の重要度が高いことから「寄らば大樹の陰」といった価値観が根強く残存している。さらに,大学生のCSRに対する意識に関係している要因としては,次のことが示された。知的好奇心を満足させる仕事に重きをおき,環境や地域社会への貢献と倫理的ルールに従うことを重要と考えている大学生は,CSRへの意識が高い。また,従業員第一や知名度に関心の高い大学生は,CSRへの意識が低い。