順天堂醫事雑誌
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特集 教授定年退職記念講演
順天堂の脳神経外科医としての40年間
伊藤 昌徳
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2013 年 59 巻 3 号 p. 221-231

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抄録

私は石井昌三教授, 佐藤潔教授の薫陶をうけ, 40年間にわたり国際的レベルの脳神経外科学の習得および国際性を享受し, 国際的な脳神経外科の臨床, 手術, 教育, 研究に携わることができた.本講演において, 感謝をこめて懐古談として英語で口演させていただいた.本邦の脳神経外科学は他科に比べその歴史は新しく, 順天堂大学においては1968年 (昭和43年) に石井昌三教授により脳神経外科学講座が創設された.1972年 (昭和47年) 現2号館の落成とともに入局したが, この年に「外科学講座」から独立し, 新研修プログラムが発足.新脳外科病棟と新手術室で診療ならびに手術を開始した.本学脳神経外科の創設期, 成熟期に本学助手, 講師, 助教授として石井, 佐藤両教授の下で仕事をし, 東京都保健医療公社病院の部長, 本学浦安病院の教授としてOperative Neurosurgeryを実践することができた.現在, 新井一教授を中心に当教室は着実に発展の道をたどっている.本講演では, 1) 脳神経外科臨床研修とmentorship, 2) 基礎医学研究と外科医 (Surgeon Scientist) について, 3) 臨床脳神経外科学の指数関数的進歩とparadigmshift, 1970年代にはほとんど行われていなかった頭蓋底外科, 脳幹部腫瘍の外科, 脊髄髄内腫瘍の外科, 脳外科医の行う脊椎脊髄外科の進歩について自験例を中心に解説した.また, 脳神経外科以外の分野においても研究する機会を得たので, 4) 米国留学と医学英語習得と教育, 医学英語検定試験の立ち上げと実施, 学会における同時通訳の役割と同時通訳研修法, 5) 社会医学として日米の医療制度, 医療保険の比較研究について概説した.

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© 2013 順天堂医学会
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