ハムスターの卵子と初期胚について,ライソソームの分布変化をアクリジンオレンジ染色法を用いて観察した.アクリジンオレンジ陽性ライソソームは,原始卵胞の卵子では細胞質全域に少数分布していたが,小型二次卵胞から排卵前3時間の胞状卵胞までの卵子では,細胞質全域に多数分布していた.なお,排卵前12および10時間の胞状卵胞内卵子では,ライソソームが細胞質全域に分布しているもののほかに,核周囲に分布しているものが半数程度みられた.未受精期の卵子からコンパクションを起こしていない8細胞期までの胚では,ライソソームは細胞質全域に多数分布していた.一方,コンパクションを起こした8細胞胚および胚盤胞において,ライソソームは,球形割球あるいは内細胞塊細胞では細胞質全域に多数分布していたが,扁平割球あるいは栄養膜細胞では少なく,主として核周囲に分布していた.8細胞胚と胚盤胞における結果から,ライソソームの分布変化と割球の分化とは密接な関係のあることが示唆された.
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