抄録
サイ(rhinoceros)のような外観を呈するライノ様突然変異マウスの精子凍結保存を行い,体外受精・胚移植によって新生仔を得た.すなわち,18% Raffinoseに3% Skim Milkを加えた保存液を用い,マウス精子を液体窒素中で保存した.凍結約2.5ヵ月後にこの精子を融解しICR系マウスの卵子と体外受精を行った.その結果,精子の蘇生率は約20%,受精率は14%(13/95)であったが,受精卵の92%(12/13)が胚盤胞へ発生した.この胚盤胞を偽妊娠マウスに移植したところ,75%(9/12)が新生仔として誕生した.これらライノ様遺伝子をヘテロに持つ新生仔(雄7匹雌2匹)には脱毛およびライノ様形質は認められなかったが,性成熟後,兄妹交配を行い,得られた計39匹の仔(F2)の約1/4にあたる11匹(雄5匹雌6匹)にはライノ様形質が発現した.すなわち,生後2~3週から脱毛がみられ,6ヵ月齢で皮膚は全体的に肥厚し皺壁の形成が認められ,その病理組織学的観察では,表層部にはpilary canal cystが,また中,深層部にdermal cystが認められた.以上の結果からライノ様突然変異マウスの遺伝子の保存および形質の再発現が可能なことが明らかとなった.