Journal of Mammalian Ova Research
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30 巻, 2 号
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原著
  • ―ICSI時におけるレーザーアシストハッチングシステムを用いた透明帯の部分的菲薄化の有用性―
    高橋 郁恵, 羽鳥 暁子, 中野 英之
    2013 年 30 巻 2 号 p. 49-52
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    当院でICSIを施行した90症例101周期を対象とし,ICSI施行時にLAH (laser assisted hatching)システムを用いて透明帯を部分的に菲薄化することで卵子にかかる圧力を軽減できるか,またその後の胚発生の成績および妊娠率に影響があるかを検討した.透明帯の菲薄化を施行した群を菲薄化群,通常通りのICSIを施行した群を対照群として,両群の胚発生の成績および妊娠率を比較した.受精率,ICSI後の卵変性率,良好胚形成率および初期胚移植での妊娠率は,菲薄化群がそれぞれ80.8%,7.5%,66.5%,28.6%,対照群がそれぞれ73.0%,9.7%,64.6%,23.1%であり,対照群に比べ菲薄化群で受精率が有意に高かった.ICSIにおけるLAHシステムを使用した透明帯の部分的菲薄化の有効性が示唆された.
  • 平岡 謙一郎, 平岡 夏織, 田巻 智慧, 名田 康子, 桐明 千晶, 吉江 正紀, 宇都 博文, 吉田 宏之, 北村 誠司, 桑山 正成
    2013 年 30 巻 2 号 p. 53-58
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    ヒトICSIにおいて,Piezo-ICSI法と内径5 μm厚さ0.5 μmの極薄ピペットを組合せたImproved-Piezo-ICSI(IPI)法によるICSI後の卵子破損率および受精率の改善効果の有無,ならびにそのメカニズムを明らかにするため,3種類の手法,すなわち①群:Conventional-ICSI(CI)法,②群:内径5 μm厚さ1 μmの標準厚ピペットを用いてのConventional-Piezo-ICSI(CPI)法および③群:内径5 μm厚さ0.5 μmの極薄ピペットを用いてのIPI法の比較試験を行った.CI法,CPI法およびIPI法における卵子の細胞膜穿破時のICSIピペット内への吸引卵細胞質量(平均±標準偏差)はそれぞれ,2792±952,0±0および0±0 μm3であり,CI法が最も多かった(P<0.0001).CPI法およびIPI法における卵子の細胞膜穿破面積はそれぞれ,18および8 μm2であった.また,CI法,CPI法およびIPI法のICSI後の卵子破損率ならびに生存卵子当たりの受精率はそれぞれ,10,5および1%ならびに78,79および89%であった.卵子破損率はIPI法が最も低く(P<0.0001),受精率はIPI法が最も高い値であった(P=0.0021).Piezo-ICSI法と内径5 μm厚さ0.5 μmの極薄ピペットを組合せたIPI法は臨床のICSIにおいて,穿刺による卵子破損率を有意に減少させ,かつ受精率を有意に改善できる有用な方法であることが明らかとなった.
報告
  • 栁田 薫, 新村 末雄, 柴原 浩章, 寺田 幸弘, 齊藤 英和, 遠藤 克
    2013 年 30 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    日本卵子学会では,生殖補助医療の核心を担う胚培養士の知識と技術の維持と向上を目的として,生殖補助医療胚培養士,管理胚培養士の資格認定を実施してきた.現在までに認定された胚培養士の状況について報告する.生殖補助医療胚培養士については,平成14年から生殖補助医療胚培養士認定審査会を実施し,現在まで1,006名が認定された.認定者において女性が79.8%を占めた.また,20~29歳が71.3%を占めた.教育背景としては大学卒・大学院修了が多く63.7%であった.学歴の専門性では生物学・動物関連学科が41.3%であった.また,学位取得者(修士・博士)は24.3%であった.審査時での実務経験が1–2年が最も多く48.8%で,不合格率が20.5%ともっとも高かった.勤務施設は医院・クリニックが多く69.1%となった.認定の更新率は70.6%であり,20.5%が資格凍結を行っている.生殖補助医療管理胚培養士の資格については,平成19年から日本生殖医学会と共同で認定を行い,現在まで14名が認定された.職種としての胚培養士の認知も進み,人数も大きな数字になってきており,公的資格制度への発展が強く望まれる.
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