日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌
Online ISSN : 2189-7085
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シンポジウム
皮膚科領域でみる血管炎の病理組織像からのアプローチ
石津 明洋
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2017 年 11 巻 4 号 p. 296-299

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抄録

 皮膚血管炎の病理組織学的所見は, 白血球破砕性血管炎と結節性多発動脈炎 (PAN) 型壊死性動脈炎に大別される。白血球破砕性血管炎をきたす疾患には, 皮膚固有のものの他, IgA血管炎, 抗好中球細胞質抗体 (ANCA) 関連血管炎, 薬剤やがんに関連する血管炎などがある。壊死性動脈炎には, PANの皮膚限局型に相当する皮膚動脈炎と, PANの部分症として皮膚の動脈が標的となる場合がある。白血球破砕性血管炎は, 病因論的には免疫複合体の血管壁への沈着が関与するものと, ANCAが関与するものに大別される。ANCAによる血管障害機序として, 従来ANCA-サイトカインシークエンスが提唱されてきたが, 近年の研究の進展により, ANCAの産生原因やANCAを介した血管障害に好中球細胞外トラップ (NETs) の関与が明らかとなってきており, ANCA関連血管炎では, NETsとANCAの悪循環が生じている。PAN型壊死性動脈炎の病因は不明である。

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© 2017 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
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