地球上の植物はすべて、大自然が大気中の二酸化炭素(CO2)と水から合成した高分子有機炭素化合物(Organic Carbon Compounds: OC)で構成されている。人間生存に必要不可欠なエネルギー源としてこれまで主に用いられてきた化石燃料は、地質時代の大気炭素から合成されたOCからできたもので、化石燃料の利用は地質時代のCO2を現在大気に放出する結果となり、このことが温暖化を引き起こしている。温暖化を回避するために、世界は2050年までの大気へのCO2の実質的排出量ゼロを宣言した(2015年パリ協定)。
化石燃料に替わるエネルギーとしては太陽、風、植物など自然の力に依存する技術が中心となるが、このうち植物エネルギーは、24時間安定供給できる点で、太陽、風エネルギーより優れている。植物エネルギーの課題は、原料の安定調達およびその分解・改質技術の開発にある。
著者らは原料植物として、その面積当たりの土地生産性が特に優れる竹に注目し、竹が持つ高いカリウム(K)含有量によるクリンカー発生を回避するため、「K化合物の気化温度以下に温度をコントロールする」という必須条件を課した。この必須条件を満たしつつ、高効率な水蒸気改質に必要な熱化学的条件(通常900℃以上)を両立させるため、触媒担持チャーによる低温改質技術が開発され(750℃以下)た。また、その熱分解・改質ガス化装置としてハイブリッドキルン(外部加熱型気固接触構造内装水平ロータリーキルン)を開発した。本稿はこれらの技術による電力供給事業を目標として、その開発過程と将来性について述べたものである。