抄録
東アジア全域の二酸化硫黄の発生量は年間2,000万トンにも及び,酸性雨問題が生じている欧州や北米の発生量にも匹敵しているが,その大部分を中国が占めており,中国の発生量は今後もさらに増加し続ける可能性が高い。既に,現在中国で石炭を多く使用している大都市のほぼすべてでその燃焼による粉塵と二酸化硫黄による激しい大気汚染が生じている。しかし,土壌等の酸中和能力の違いを反映して,北部では酸性雨による被害がまだ生じていないが,西南部では酸性雨による被害も生じている。中国の大気汚染とそれに関連した越境汚染の可能性を考えるとともに,これらの環境問題解決のための新たな経済援助の仕組みの必要性を指摘した。