抄録
2014(平成26)年8月20日に広島県広島市で発生した土石流災害について,無人航空機(UAV)撮影とSfM写真測量により土砂堆積量を計測し,地質による被害特性の差異を明らかにした。 人的被害は,谷出口から平均132mの範囲で発生し,これは建物被害域よりも小さかった。建物被害域は,ホルンフェルス地域よりも花崗岩地域のほうが範囲が大きかった。また,ホルンフェルス地域では,建物が土石流を停止させる働きを示したが,花崗岩地域では,細粒な土砂が建物の間を通って,より遠方まで到達した。これらの結果は,このイベントにおける土石流の到達範囲が,沖積錐の地形発達範囲と同等か,それよりも小さいことを示している。