2017 年 66 巻 4 号 p. 367-372
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(universal health coverage: UHC)は国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal: SDG)の目標3において要となるターゲットである.各人が経済的な困難に陥ることなく保健医療へアクセスできることは基本的人権であり,社会の安定と共に経済的,社会的な開発の基礎となるが,UHCはそのようなアクセスを改善するための包括的アプローチである.UHCの3大構成要素である対象となる人口,対象となるサービス,経済的保護は,保健財政と密接に関連している. SDGsでは,UHCに向けた進捗状況をモニタリングするための2つの指標のうち,1つが経済的保護に関する指標である.この指標は,保健医療における人々の経済的な破綻リスクを低減することに役立つものである.経済的な破綻となる域値については更なる議論の余地があるが,経済的保護に関する指標が採択されたことはUHCの実現に向けた大きく,重要な一歩である. 本稿ではUHCとの関係において,保健財政の強化とその進捗状況のモニタリング指標策定の動向を述べる. ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(universal health coverage: UHC)は国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal: SDG)の目標3において要となるターゲットである.各人が経済的な困難に陥ることなく保健医療へアクセスできることは基本的人権であり,社会の安定と共に経済的,社会的な開発の基礎となるが,UHCはそのようなアクセスを改善するための包括的アプローチである.UHCの3大構成要素である対象となる人口,対象となるサービス,経済的保護は,保健財政と密接に関連している. SDGsでは,UHCに向けた進捗状況をモニタリングするための2つの指標のうち,1つが経済的保護に関する指標である.この指標は,保健医療における人々の経済的な破綻リスクを低減することに役立つものである.経済的な破綻となる域値については更なる議論の余地があるが,経済的保護に関する指標が採択されたことはUHCの実現に向けた大きく,重要な一歩である. 本稿ではUHCとの関係において,保健財政の強化とその進捗状況のモニタリング指標策定の動向を述べる.