2018 年 67 巻 4 号 p. 365-372
地域の健康管理には,地域を把握するためのデータ収集・評価と,地域ぐるみで取り組むためのデータ活用が必要である.データ収集・評価では,取り組みの根拠を明確にするため,健康に関連する様々な情報を活用することが望ましい.大学と自治体が連携することで,疾病発症情報等様々な追加情報を得られることから,地域の疾病要因についての検証と評価が可能となる.また,大学が提供する分析結果を,行政や住民の強みを活かし伝わりやすい方法で示すことで,分野横断的な取り組みと,課題解決を後押しできると考えられる.
本著では,大学が行う地域健診活動とコホート調査の調査手順について紹介し,地域で有用な情報を集める際の分野横断的な協働の必要性について説明した.また,自治体で入手しやすいデータの活用方法の工夫として,国保データベースシステム(KDB)データ・特定健診データの提示例と共に,公表機会の活用事例についても紹介した.分野横断的な協働の基盤となるのは,組織間や住民との信頼関係である.長崎大学と五島市の事例を通して重要であった活動基盤,視点と目標の共有,お互いの力が最大限に発揮できるよう情報提供し合える関係づくりについて説明した.