2018 年 67 巻 4 号 p. 382-393
目的:地域医療ケアシステム構築における保健所保健師の関与と他職種の関与を比較することを通して,保健所保健の関与の特徴を探求することとした.
方法:全国の県型保健所372カ所を対象に地域医療連携に関する業務を主に担当している保健師などに対して無記名の質問票による調査を郵送で実施し.保健師と保健師以外の職種の関わり等を比較した.調査内容は,1)対象者の基本状況,2)担当している事業の概要を調査し,3)地域医療ケアシステム構築に関与している内容32項目である.
結果:1)対象者の背景:保健師148名(保健師群),保健師以外163名(保健師以外群)から回答があり,年齢や行政経験などは両群で大きな差は見られなかった.2)担当している事業:地域医療システムの構築段階では,両群とも「構築期(中期)」が最も多く,次いで保健師群では「創設期(初期)」,保健師以外群では「維持期(後期)」であった.関係機関による会議は,両群共に「連携推進協議会」が最も多く,実際に連携体制を取っている関係機関は,「病院」が最も多かった.保健師群では「市町村」「診療所」「訪問看護ステーション」「在宅介護支援所」なども保健師以外群よりも多かった.3)関与に関して保健師群は保健師以外群より「関係者への地域医療連携に関する研修会を企画する」「連携推進会議で参加者が活発な発言ができるよう内容をまとめて述べたり,発言の少ない人に発言を促したりする」「連携づくりに必要な人材を関係機関から見いだし適切な役割が担えるよう支援する」など12項目が有意に高かった(p<0.001).この12項目を「関与強群」「関与中群」「関与弱群」分けて内容を検討した結果,「関与強群」は地域の専門職への教育機能,「関与中群」は地域医療システムの構築におけるマネジメント機能,「関与弱群」は情報収集・発信機能をそれぞれ発揮していたと考えられた.
結論:保健師は在宅ケア領域などの領域で,システムの創設期~構築期で役割を担うことが多く,小さい組織や実務担当者の会議などへの関与や立場の弱い職種のアドボケーターとしての役割を担ったり,様々な機関をつなぐコーディネーターとしの役割を担ったりしていると考えられた.また,公衆衛生看護管理の機能の「事業・業務管理」など 5 つの管理機能を発揮し地域医療システムを推進していると考えられた.これらは,ジェネラリストとしての保健師の機能として考えることができる.