2018 年 67 巻 4 号 p. 394-401
自然災害時は,緊急性を要する医療・保健・福祉に関連するニーズが急速に増大し,支援の需要と供給の不均衡が生じる.また,復興期においても,被災住民の健康課題は,教育,住宅,労働,交通など生活全般にわたる要因が関連するため,医療・保健・福祉の各個別の専門性による対応だけでは解決できない事態が生じ得る[1].
近年,災害の頻発化に加え,被害の甚大化によって,被災地域住民の生命の危機,重篤な健康課題をもたらす事態が深刻化し,その課題解決に向け,災害発生後の早期から多種多様な専門職が被災地に参集している.このような昨今の自然災害の実態を鑑み,平常時から受援を想定した活動体制の構築の検討や,発災時には,被災地の健康課題に対峙するために適した速やかな組織体制の構築が求められている.
本稿では,災害時の公衆衛生活動と保健師の役割,他職種マネジメントと組織体制のあり方,組織内外の分野横断による活動の観点から,過去の知見や課題を概観し,自然災害時に保健師に求められるジェネラルな能力と,効果的な活動を推進するための分野横断のあり方について言及する.