2020 年 69 巻 3 号 p. 260-273
個々の患者の腫瘍のゲノム情報に基づき治療を選択する時代を迎え,2019年 6 月からがんの遺伝子パネル検査が保険診療で実施可能となり,個別化がん医療を加速させるための大きな一歩となった.
遺伝子パネル検査で検出された遺伝子バリアントの解釈に基づいて治療を提供するためには,遺伝子バリアントの解釈とそのエビデンスレベルを付記する「臨床的意義付け」のプロセスが必要となる.全国のがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院に設置されたエキスパートパネルは患者背景も考慮しつつ,得られたゲノム結果について検討を行う.
がんゲノム情報管理センター (Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics: C-CAT)では,エキスパートパネルへの医療支援として,遺伝子パネル検査結果報告書に対して,臨床試験や薬剤情報,エビデンスレベルなどを付加した,C-CAT調査結果を提供している.C-CAT調査結果はマーカーエビデンス情報,薬剤や臨床試験の情報を収集し,正規化して統合したがんゲノム医療に必要な知識データベース(CKDB; cancer knowledge database)に基づき出力される.CKDBの更新・維持のために腫瘍内科医や各診療科の専門医等,約25名から構成されるキュレーターチームが結成され,月次の頻度で臨床試験情報,薬剤情報,マーカーエビデンス情報の更新を行っている.C-CAT調査結果により,ゲノム解析結果に対する最新のエビデンスや薬剤・臨床試験の情報がエキスパートパネルに提供されることにより,ゲノム医療の均てん化・効率化が進む.また,臨床試験への患者登録が促進されれば,本国における新薬開発が活性化され,エビデンスの創出につながり,がん医療の進歩に大きく貢献する.