保健医療科学
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新規侵襲的医療・手術手技の導入・実施にかかるガイドライン
英国NHS・NICEの指針と運用
佐藤 元冨尾 淳
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2020 年 69 巻 3 号 p. 282-289

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抄録

外科領域の技術革新,中でも新規手術・手技の開発・導入は医療の発展にとって不可欠であるが,時に有害事象を引き起こし,安全性・有効性の事前評価が問題視され,また事後評価のあり方が問われる.これら技術革新は研究・臨床(医療)の両者を通じて行われるが,特に臨床の場における導入に関して,監視ならびに情報共有の制度は十全でない.英国の国民保健サービス(NHS)および国立医療技術評価機構(NICE)は,新規の侵襲的医療・手術手技プログラムにより,新規手術手技の導入にかかる指針を定め,新規性の定義,実施体制,事前審査,説明同意,救急対応における実施条件,事後の評価(監査)および報告などの手順を明確化した.英国のNHS各地域トラストは,この指針に沿って実施規則・体制をさらに具体化して整え運用している.英国における本プログラムは,我が国における新規医療技術・手術手技の監視・評価体制の整備,さらには医療技術ガバナンスの向上を推進する上で示唆するところが多い.

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© 2020 国立保健医療科学院
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