目的:児童相談所の専門職が学ぶ必要があると考える研修内容と,それらを学ぶ機会の実態を明らかにすることを目的とした.
方法:全国の児童相談所214か所の児童福祉司,児童心理司,保健師を対象に,無記名自記式質問紙調査票を郵送配布した.各児童相談所各職種 1 名を調査対象とした.調査内容は,回答者の属性,学ぶ必要があると認識している研修内容(講義・演習)とそれらを学ぶ機会の有無とした.全変数について記述統計を行うとともに,各回答傾向の職種間の差を確認するために,Dunn検定とχ二乗検定を行った.
結果:回答を得た395名のうち387名を分析対象とした(有効回答率97.9%).回答者の児童相談所における職種の割合は,児童福祉司43.9%,児童心理司43.9%,保健師12.1%であった.学ぶ必要があると考える講義テーマは「虐待の子どもへの影響」「虐待の判断・リスクアセスメント」などであった.職種間の差がないものは「虐待の子どもへの影響」などで,すべての職種が学ぶ必要があると考えるが,学ぶ機会がないものは,「子ども・保護者との面接に関する技術」であった.学ぶ必要があると考える演習テーマは「子ども・保護者との面接に関する技術」「虐待の判断・リスクアセスメント」などであった.職種間の差がないものは,「事例検討」などで,すべての職種が学ぶ必要があると考えるが,学ぶ機会がないものは,「スーパービジョン」「子ども・保護者との面接に関する技術」であった.
結論:本研究の結果,児童相談所職員に共通して,あるいは特定の職種に特に学ぶ必要があると考える研修テーマと,それらを学ぶ機会の実態が明かになった.今後,研修内容と対象職種を検討する上での参考となり,学ぶ必要性の認識が高く,学ぶ機会に職種間で差がなかったテーマの研修を 3 職種合同で行い,意見交換をする機会を設けるなどにより,職種間の相互理解にも役立つ可能性があると考える.