保健医療科学
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特集
気候変動による直接的健康リスク
熱関連疾病・死亡
本田 靖
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2020 年 69 巻 5 号 p. 412-417

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抄録

気候変動の直接的健康リスクとしては,わが国のような先進国の場合,熱関連死亡がもっとも重要である.熱関連死亡とは,日別の死亡リスクが最低となる気温(=至適気温)を基準として,それより高気温になった場合の増分として定義され,死因分類としては循環器疾患や呼吸器疾患が多く,熱中症の占める割合は 1 %に満たない.最近では,ある日の高気温の影響が翌日以降に及ぼすラグ効果も考慮に入れた累積効果を評価するようになっている.気温以外の気象要因として,湿度なども考えられるが,その影響は気温に比べて小さい.同程度の高気温であっても,リスクは夏期の前半に比べて後半で小さくなることも確かめられている.連続した高気温である熱波の影響は,おおむねそれぞれの高気温の超過死亡の合計であり,連続することによる追加の影響は小さい.脆弱集団としては,小児および高齢者が挙げられる.ただし,死亡数で評価した場合には高齢者への影響がはるかに大きい.

適応策としては,適切なエアコンの使用と飲水につきるが,高齢化の進むわが国では,認知症,要介護の問題もあり,地域の実情に合わせた対応が必要である.更に,2019年末からパンデミックに発展したCOVID-19の影響により,適応策に新たな難題が加わった.

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© 2020 国立保健医療科学院
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