原子力バックエンド研究
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研究論文
雑固体廃棄物の固型化に用いるモルタル原材料の配合
橋爪 修司高沢 宏充松本 潤子馬場 恒孝
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1998 年 5 巻 1 号 p. 37-44

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抄録

  低レベル放射性廃棄物雑固体廃棄体の浸出挙動を検討するため,雑固体廃棄体を模擬した廃棄体を調製する必要がある. このため,モルタルの流動性,圧縮強度,ブリージング率,収縮率に与えるモルタル原材料の配合の影響,および流動性と他の特性の関係,雑固体廃棄物の固型化に適した原材料の配合について検討した. その結果,水/セメント比の増加にしたがい,流動性は良くなり,圧縮強度は低下し,ブリージング率と収縮率は増加する傾向であり,高炉セメントは普通ポルトランドセメントに比べ,水/セメント比がこれら特性に与える影響の大きいことを明らかにした. この原因を高炉セメントに含まれる高炉スラグの微細さおよび高炉セメントのセメント粒子含有量の少なさによるものと推察した. また,混和剤/セメント比の増加にしたがい流動性は良くなるが,混和剤を多く入れても効果は飽和することが明らかとなった. けい砂/セメント比については,この比の増加にしたがい,収縮率が減少する傾向にあり,このことからセメントの水和反応に基づく体積減少がモルタルの収縮の主たる原因であると推定した. なお,高炉セメントを使用した場合,流動性を良くすると,ブリージング水の発生,材料分離や圧縮強度の著しい低下が認められた. これらの結果をもとに,雑固体廃棄物の固型化に用いるモルタルの最適な原材料の配合を,流動性,圧縮強度,ブリージング率,収縮率を考慮して提案した.

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© 1998 一般社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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