日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
腋窩多汗症の患者意識調査:インターネットアンケート調査608人の結果報告
藤本 智子大勝 寛通深山 浩大嶋 雄一郎
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2022 年 39 巻 3 号 p. 431-439

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抄録
背景: 原発性腋窩多汗症は,患者においてはQOLを著しく損なうこと,疾患が生産性低下を引き起こし経済的損失も極めて大きいことが明らかとなってきたが,その患者の多くは医療機関を受診していない実態が想定される. 目的: 原発性腋窩多汗症に関して,患者の疾患の認知度や受診意欲,日常生活への影響を把握する. 方法: インターネットアンケート調査会社が有する調査パネルに登録された全国の男女707,358人の中から,腋窩の多汗症状のhyperhidrosis disease severity scaleが3以上かつHornbergerの診断基準に2項目以上該当する調査対象者,すなわち日常生活に頻繁または常に支障がある重症の腋窩多汗症患者に該当し得る調査対象者608人を抽出し,インターネットアンケート調査を行った. 結果: 多汗症という疾患名を「聞いたことがある」のは92.3%であった.腋窩の多汗症状により,「学業・仕事へ影響があった」と回答したのは17.1%で,その内訳は「希望の職種・職業を諦めた経験がある」が6.6%で最も多かった.腋窩多汗症に対する対処法として「医療機関を受診した」と回答したのは9.5%で,医療機関を受診したことのない調査対象者のうち,「医療機関で腋窩多汗症の治療が可能であることを知っている」と回答したのは58.9%,「医療機関で腋窩多汗症の治療をしたい」と回答したのは64.0%であった.半数以上が治療できることを知っている,または潜在的に治療したいと考えている一方,受診率は低い腋窩多汗症の治療実態が示された. 結論: 患者の人生にも深刻な影響を及ぼしうる腋窩多汗症の積極的な治療介入が必要にも関わらず,患者の受診機会は十分といえない状況である.多汗症の治療選択肢を提供できる医療機関の普及と患者への疾患啓発が必要と考えられる.
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