日本臨床皮膚科医会雑誌
Online ISSN : 1882-272X
Print ISSN : 1349-7758
ISSN-L : 1349-7758
論文
クロレラによる中毒疹および柑皮症を呈した1例
木花 いづみ作田 隆義鈴木 友博新川 宏樹栗原 佑一
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 40 巻 4 号 p. 545-549

詳細
抄録

81歳,男性.高脂血症の既往あり.受診4ヶ月前より,体幹・四肢を中心に激しい瘙痒をともなう紅斑・丘疹が出没,倦怠感・嘔気をともない当科紹介受診となった.初診時,紅斑丘疹型中毒疹のほかに,全身の皮膚の黄染を認めたが,眼球結膜には異常を認めず,血中ビリルビン値は正常.詳細な問診聴取から,9ヶ月前からクロレラの摂取を開始,また連日野菜ジュースや海苔の佃煮を食していたことが判明した.臨床経過,血中β-カロチン高値より,クロレラによる紅斑丘疹型の中毒疹および柑皮症と診断,クロレラの中止後約1ヶ月で,中毒疹と激しい瘙痒は軽快、皮膚の黄染も徐々に軽快しつつある.昨今の健康志向から,様々のサプリメントが販売されているが,薬剤と異なり,健康食品やサプリメントについては,その副反応の存在があまり周知されていない.また,我々医療関係者も薬剤の副作用に比べると,その健康被害については,中止して症状が軽快すると,そのまま副作用報告を行わずにすませてしまうことも多い.健康な生活を求めて摂取するサプリメントや健康食品で,逆に健康を害してしまうことを避けるためにも,サプリメントを摂取する際の注意点を周知させる必要がある.今回自省も含めてクロレラによる紅斑丘疹型中毒疹と柑皮症の合併を認めた自験例を報告する.

著者関連情報
© 2023 日本臨床皮膚科医会
前の記事 次の記事
feedback
Top