2024 年 3 巻 2 号 p. 92-98
【⽬的】上腕⾻近位端⾻折術後の症例に対し,⼼理社会的因⼦に対する評価と介⼊を組み合わせた理学療法を実施し,良好な結果を得たため報告する。【症例】本症例は60 歳台⼥性で,看護業務中に転倒し左上腕⾻近位端⾻折と診断された。受傷3 ⽇後にプレート固定術を施⾏,術後6 週⽬に仕事復帰,術後11 週⽬までの経過は順調であった。しかし,本症例が希望した⾞椅⼦介助は左肩の恐怖感のため難渋した。⾞椅⼦介助を制限している要因は肩関節の機能障害と異なると考え,⼼理社会的因⼦の評価を追加した。⼼理社会的評価の結果からTSK が⾼く,⾞椅⼦介助に恐怖感があるという訴えから,運動恐怖に着⽬しGMI を実施した結果,⾞椅⼦介助への恐怖感が軽減し⾞椅⼦介助が可能になった。【結論】上腕⾻近位端⾻折術後の症例に対して⼼理社会的因⼦の評価と介⼊が有⽤であると⽰唆された。