日本視能訓練士協会誌
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特別講演
視機能に嵌って35年(デジタルデバイス時代の両眼視機能検査)
不二門 尚
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2023 年 53 巻 p. 1-8

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抄録

デジタルデバイスが多用される時代を迎え、3D映像を使った機器も今後普及すると考えられる。医療の分野でも、3D映像を使用したロボット手術や、head up displayによる硝子体手術が普及しつつあるが、3D映像を長時間見ることで、眼疲労を感じる場合がある。この原因として、3D映像視聴時の輻湊と調節の解離がある。調節は画面上に固定されるが、輻湊は飛び出しの映像においては通常より大きく誘起される。このため、運動性融像の弱い人は輻湊の維持に努力が必要で、これに伴い輻湊性調節が大きくなり、眼疲労が起きると考えられる。

近距離(20 cm)のスマホ読書では、視線解析を行うと、内斜位では内方偏位が大きくなり、間欠性外斜視では外斜視(単眼視)の頻度が増すことが示され、近距離でのスマホ視聴は視覚負荷が大きいことが示された。

軽度の遠視性不同視では、初期老視期に眼疲労を訴える場合がある。両眼波面センサーでの検討では、成人では固視交代によるモノビジョンは成立しにくい場合が多く、近見時の遠視眼による固視が眼疲労の原因であることが示唆された。黄斑上膜で、大視症を訴える症例が増えているが、視細胞レベルの不等像視に対しては、レンズの厚みを増加させ、像の倍率を変えるサイズレンズが有効な場合があることが示された。

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