黄斑前膜(ERM)は40歳以上の約4%に存在し、黄斑疾患のなかで最も一般的な疾患である。またERMは変視や不等像視を訴える代表的な黄斑疾患であり、約8割の患者が変視や不等像視を自覚すると言われている。近年、硝子体手術手技の進歩によりERMの視力予後は比較的良好となった。しかし術後に変視が残存して患者の満足感が得られず、不満を漏らす患者も少なくない。そのような患者に対応するため、我々はERM患者の変視や不等像視についての知識を深めなければならない。本項ではERMの変視・不等像視の特徴とイメージングとの関連、QOLとの関わりについて解説する。さらにこれら視機能やQOLを考慮したERMの手術適応と患者への説明についても個人的な見解を述べる。