日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
一般講演
低加入度数分節眼内レンズと高次非球面眼内レンズにおける術後満足度の比較
水本 強一寺尾 春香岡 佑典瓶井 資弘
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 53 巻 p. 85-93

詳細
抄録

【目的】低加入度数分節眼内レンズ(レンティスコンフォート®、以下LC)または高次非球面眼内レンズ(テクニスアイハンス®、以下TE)を両眼挿入した患者を両眼遠方視(以下BV)とモノビジョン(以下MV)に分け術後満足度を比較検討する。

【対象および方法】愛知医科大学病院においてLCまたはTEを両眼挿入して術後3カ月以上経過し、両眼裸眼視力が小数視力0.7以上の患者65例を対象とした。対象者を術後自覚的屈折値の左右差が0.5D以下をBVに、差が0.6D以上1.5D以下をMVに分類した。日常生活の場面を運転・散歩・買い物・テレビ・料理・食事・パソコン・読書・スマートフォンに区分し、両眼裸眼視力での5段階評価の患者アンケートを実施した。①BVとMVのそれぞれの群で、LCとTEの満足度を比較した。②LCとTEのそれぞれの群で、BVとMVの満足度を比較した。③満足度に影響する因子について重回帰分析をおこなった。

【結果】①BVでは有意差を認めなかった。MVでは散歩(P=.015)と買い物(P=.020)でLCが有意に良好であった。②LCでは散歩(P=.024)と買い物(P=.043)でMVが有意に良好であった。TEでは有意差を認めなかった。③満足度に影響する因子は、LCでは瞳孔径と屈折の左右差が、TEでは性別・眼軸長・5m両眼裸眼視力であった。

【結論】LCをモノビジョン狙いにすることで、より良い術後満足度を得られる可能性があることが示唆された。

著者関連情報
© 2023 公益社団法人 日本視能訓練士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top