2023 年 53 巻 p. 95-102
【目的】視能訓練士実習施設指導者等養成講習会(以下、講習会)の成果と課題を抽出するため、講習会修了者に対して受講後の意識の変化(以下、意識の変化)に関するアンケート調査を行った。
【対象および方法】調査対象者は、受講年度が2017年から2019年の141名であった。アンケート調査の質問項目は実習指導について17項目を設定した。回答は、意識の変化について5段階で得点化した。
【結果】本調査の回収率は22.0%であった。受講後に実習指導を行った者21名のうち講習会の効果が「非常にあった」との回答は9名(42.9%)、「ある程度あった」12名(57.1%)、「なかった」0名であった。
実習指導の項目について主成分分析を行い、第1主成分「学習活動の支援」、第2主成分「スタッフとの情報共有」、第3主成分「多職種連携の指導」で構成されていた。第1主成分「学習活動の支援」について、意識の変化が高かった項目は「学生が自由に質問や意見ができるような環境を整えている」18名(85.7%)であった。一方、意識の変化が低かった項目は、「学生に対する指導案を作成している」6名(30.0%)であった。
【まとめ】本講習会の成果として、実習指導における学習活動の支援のうち「実習環境の整備」等での意識の向上が抽出された。今後の課題は教育、指導の設計手法に関する内容の充実に重点を置くことである。