油脂化学協会誌
Online ISSN : 1884-2011
ISSN-L : 0372-7742
魚油の乾燥性とその改善に関する研究 (第2報)
II. 柔魚油の組成
丸茂 秀雄富山 新一
著者情報
ジャーナル フリー

1954 年 3 巻 2 号 p. 67-70

詳細
抄録

柔魚油及びエステル基交換, 脱ロウによつて飽和酸を除去した脱ロウ油の組成を検討した。柔魚油にははじめからモノ, ジグリセリドが存在し, エステル基交換では更に増量しメチルエステルも生成するのを認めた。これらのトリグリセリド以外のエステルを含む試料の加熱減量は著しく高い。分子蒸留で得たメチルエステル, モノ, ジグリセリドを多く含む油部の乾燥性は甚だ不良であつた。
アマニ油の組成としてメチルエステル及びモノグリセリド含量, F1不飽和酸含量の影響を試験したが, それぞれ25%, 32%を越えると著しく乾燥性は不良となつた。以上から飽和酸を除去した柔魚油の乾燥性がなお不充分である原因を考察すると
(1) F1不飽和酸の影響を考慮する必要はあるが熱重合によつて改善されるとは思われない。
(2) メチルエステルを殆んど含まない試料の乾燥性も不充分であり
この原因はモノ, ジグリセリドにある可能性が最も強い。

著者関連情報
© 公益社団法人 日本油化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top